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デニムの顔に個性を作る、最後の工程が加工です。新品の状態にもかかわらず、あたかも既に穿き古したように見せるには、全体的な色落ちはもちろん大事。でも経年劣化とは人間が着用し続けた過程で生まれるユーズド感とは、表情があるもの。あるべき部分への強い加工が施されることで立体感を帯び、さらには汚れやダメージが加わり、はじめてジーンズらしく見えてきます。そのためには、やはりここでも職人の手は欠かせません。経験豊富な彼らの力加減が必要になってきます。それはとても緻密な作業で、ゆっくりと丁寧に、時間を費やしています。

まずは生地の削りだし。紙ヤスリを手やドリルに巻き付け、ときに優しく撫でるように、ときに力を注いで痛めつけるように、職人のみが持つ強弱のスイッチを切り替えながら行います。裾はたるませた状態でピンを打ちながらシワを固定し、脱色剤をたっぷりと染み込ませたタオルでなぞるように拭くことで、立体感を表現しています。その後は洗いの作業が待っています。色落ち具合を安定させるためには、中に入れるジーンズの重さに対しての水の量、そして洗う時間を決める必要があり、何回ものテストを繰り返すことで、理想を形にしていきます。一般家庭用の洗濯機の何倍もの大きさのドラム缶のような機械の中にジーンズを入れてぐるぐると回す、その光景はまさに圧巻です。

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生の状態のデニムに糊がはがれて色落ちすると、次は削り出しの際に見えてくる白場(縦糸の白糸)とインディゴとのにメリハリをつけるための加工を施します。これをバイオ加工といい、ジーンズのアタリや縦落ちにリアリティをもたらします。白場のみに反応する薬品を約80℃のお湯に混ぜ、そこにジーンズを5分程浸し、その後すすいで乾燥機に。ジーンズと一言でいっても生地の性質がそれぞれ違えば、色の落ち方は千差万別なのは言うに及ばず。ここでもやはり、職人の勘と経験が頼りです。

例えば150本のジーンズを作るには、加工だけで一週間強もの時間が費やされています。しかもA.W.Aのデニムに多く見られるリペアやペンキ、汚れなどを演出はここから始まります。糸から生地を作り、縫製をし、仕上げの加工をする。一本のデニムが完成して人の手に渡るまでに、ジーンズは色々な場所を飛び回り、そこで多くの職人たち出会い、彼らの手、そして心が加えられています。まるで生き物のように一本一本が微妙に異なるその魅力を、オートメーション化が求められる今こそ味わって欲しい。A.W.Aのジーンズには、そんな願いが込められています。

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