WEAVE
A.W.Aで使用しているデニム生地は、糸の染色と同じ、岡山県井原で作られています。この周辺は、世界でも群を抜いたクオリティで知られる日本産デニムのなかでも、製織の中心となっている土地です。現在はコンピューター制御による高速織機が主流となっていますが、A.W.Aではあえて、旧式の力織機を使ったオリジナルデニムをオーダーしています。最新式織機はその構造上、タテ糸にテンションを掛けないと織ることができないため、表面が均一的なツルツルの仕上がりなるのが特徴です。一方“シャトル織機”とも呼ばれる力織機は、現代の織機の約6分の1という抵速度でしか織ることができない極めて非生産的な機械ですが、タテ糸を強く張らずに織ることが可能で、ゆっくりと時間を掛けて織る分、ヨコ糸の打ち込みが強くなり、結果として凹凸感のあるゴワゴワとした厚い生地が生まれます。このザラつきこそがヴィンテージのような野趣溢れる素材感の理由、そして味わい深く美しいタテ落ちには不可欠な要素なのです。事実、ヴィンテージデニムは、こうした力織機で製造されていました。しかし1970年代になり、生産性に長け安定した品質を保つことができる革新織機が登場したことよって、あまりにも効率の悪い力織機は現場から姿を消し、既に大多数が廃棄処分されてしまっています。そのため今日では、ほとんどが残っていない希少なものとなっているのが現実です。